京都府におけるプロボノに関する実態調査

研究活動の要約

2010年は「プロボノ元年」と呼ばれる。しかし、プロボノという概念は非常に新しい概念のように思われがちであるが、その歴史を辿ってみると、「狭義のプロボノ」か「広義のプロボノ」か、という違いはあるのもの、実に四半世紀以上のプロボノの歴史がある。その意味では、プロボノとは決して新しい概念とは言えず、むしろ本格的に普及したのがこの数年と見るべきである。
「プロボノ」とはラテン語の「Pro Bono Publico(公共善のために)」を語源とし、「社会的・公共的な目的のために、自らの職業を通じて培ったスキルや知識を提供するボランティア活動」のことを意味する。この定義からすれば、通常のボランティアとも違うし、有償のプロフェッショナルサービスとも違う。その中間と言えるし、ある意味でそのハイブリットとも言える。ともあれ、「公共(善)のため」という所に最大の特徴があり、公共サービスの担い手である行政やNPOとは切っても切れない今日的なキーワードである。
ところで、京都府においては2008年より「京都府地域力再生活動アドバイザー」という府内の「地域力再生活動」を行う団体に対して、各分野での先駆者や専門家によるアドバイザーの派遣・応援する制度を実施してきた。2014年5月現在で「92名」の方が登録されている。その分野もまちづくり、子育て支援、中間支援団体、環境NPO、若者就労支援、政策づくり、マスメディア、起業家育成、ITサポート、アート、女性の就労支援、環境教育、農業系、若者の活動サポート、広報、と実に幅広い。しかしながら、この制度は一団体につき年1回までしか使えない、企業人の参画が少ないなど、いわゆる従来のプロボノに比べれば、やや単発かつ個人的な支援となっている。
そこで、本調査では、京都府の「次の」地域力再生活動につながるような「京都版プロボノ」を構想すべく、わが国のNPOを取り巻く課題の整理、プロボノに係る先行研究のレビューを行った後、都道府県におけるプロボノ活用のための先進事例の実態調査及び「京都府地域力再生活動アドバイザー派遣事業」検証を行い、とりわけ京都府にふさわしいプロボノのあり方を提言する。
具体的には、①NPOセクターの課題の整理、②わが国のプロボノに関する文献調査、③プロボノを推進する先駆的な団体の事例調査(行政・NPO)、④「京都府地域力再生活動アドバイザー派遣事業」の検証を行った上で、最後に京都府版プロボノのあり方を提言する。
本報告書が京都府における地域力再生のために少しでも貢献できれば望外の幸せである。

採択年2014
対象地域京都府全体
種類
キィワードキィワード未設定
ファイル京都府におけるプロボノに関する実態調査 (PDF, 8 MB)