【開催報告】
京都リサーチパーク主催 ふれデミックカフェ 特別版「つなぐ、のこす、ひらくーデジタルアーカイブが生む新たな価値」クロストークに東昇教授(文学部歴史学科)が登壇しました
京都リサーチパーク(KRP)主催、京都府立大学京都地域未来創造センターが共催した「ふれデミックカフェ」特別版の第2弾が、2025年10月6日(月)にハイブリッドで開催されました。「デジタルアーカイブが生む新たな価値」をテーマに、本学文学部歴史学科の東 昇 教授と、同志社大学文化情報学部の大井 将生 准教授がクロストークを展開しました。
本学の東 昇 教授からは、府大ACTR(京都府立大学地域貢献型特別研究)「京都府北部のMALUI・高大連携による文化資源を活かした地域づくり」プロジェクトの成果として、地域に残る古文書のデータ化と社会実装について報告がありました。
東教授は、舞鶴市と連携した検索システム「まるまる舞鶴」や、企業と提携した生成AIを活用した「舞鶴市史 Chatbot」の試作を紹介しました。
「まるまる舞鶴」を市内の高校で活用している様子の報告や、生成AIによる新たな歴史の活かし方として「眠れる地域史を学びに活かす-舞鶴市における試み」というテーマで、自治体史テキストをChatbotに格納した「舞鶴市史 Chatbot」の試作版を紹介しました。
※MALUI連携とは、M(博物館)、A(文書館)、L(図書館)、U(大学)、I(企業)の文化資源情報を集約し、地域で活用する事業です。
同志社大学の大井 将生 准教授からは、デジタルアーカイブ(DA)を「タイムマシーン」×「どこでもドア」と表現し、情報過多の時代にDAが文化情報と教育をつなぐ仕組みであることの説明があり、小中高でのDA活用事例の紹介がありました。
クロストーク
科学コミュニケーターの本田 隆行 氏がファシリテーターを務め、活発なクロストークが行われました。
参加者は、計39名(会場:22名、オンライン:17名)で、リアルタイムでの質問を行うことができるSlido投稿数は17件で、活発なQ&Aがなされました。
「13年前の研究室立ち上げの時と比べて、東先生の研究活動に関する地域の方の変化や学生さんの変化は何か感じることはありますか?」「データベース化によって、これまで見落としていた、新しい発見はあったのでしょうか?」「過去の資料は膨大に蓄積されていくなかで、価値の重みづけが難しいなと思います。全てを残すとなるとコストもかかるし、すべての情報には等しく価値があると思いますか?それとも、ある種のジャンクデータは淘汰されていくと思いますか?どこからが古文書になるのかも気になりました。(究極、きのう書いた日記も古文書になる?)」など、さまざまな切り口からの質問が寄せられ、本田氏のファシリテーションによって活発なQ&Aが行われました。
参加者の声
アンケートからは「教育と研究の接続についても展望が見えた」「業務上関わりがなかなか持てない教員の先生の研究成果を聞くことができた」など、大学の枠を超えた議論の価値を評価する感想が多く、実りある会となりました。

