【府大ACTR】養鶏農家、論文を書く 

府大ACTRの研究成果が『日本家禽学会誌』第62巻 第J2号に掲載されました。

■ 府大ACTR研究テーマ
「昆虫の養殖飼料化を基盤とする新たな養鶏システムの確立-京都府基幹産業が抱える課題の包括的解決に向けた取り組み-」(研究代表者 田中 俊一 生命環境科学研究科准教授)

京都府において養鶏業は基幹産業の一つです。一方で、現在使用されている飼料(魚粉を主とする配合飼料)は軒並み価格が高騰しており、さらには資源枯渇を理由とする供給の不安定化も問題となっています。そのため、従来飼料から脱却する新たな飼料の開発が望まれています。

京都府のもう一つの基幹産業として醸造産業があります。全国的にも上位に位置しており、それに伴って酒粕や麦芽粕といった発酵食品残渣が多く発生しています。これら残渣の有効活用を狙い、養鶏飼料への利用が長年試みられてきました。しかし、食品残渣は高水分含量で排出されるため、養鶏業で一般的に用いられる給餌システムで利用するには乾燥させることが必要となります。この乾燥に大きなコストが発生するため、食品残渣の利用は頓挫してしまっているが現状でした。

これら2つの背景から本研究では、これまでの「食品残渣を直接ニワトリに給餌する」という考えから脱却し、食品残渣とニワトリ間の“ハブ’’として昆虫を利用する新たな飼料設計の検証を目的に活動を進めました。

■ 論文タイトル
西田圭佑・岡田耀喜・巽敬太・小西未来・岡本恵祐・中尾淳・田中俊一「フタホシコオロギ(Gryllus bimaculatus)飼料が後期採卵鶏の産卵史跡、卵質、血液生化学及び血清蛋白質画性状に及ぼす影響」

掲載媒体
『日本家禽学会誌』第62巻第J2号  J63-J73   日本家禽学会 2025年10月

■ ACTR研究テーマの提案者によるエッセー「養鶏農家、論文を書く」
本研究は、ACTR研究テーマの提案者である西田圭佑氏(西田養鶏場)が筆頭著者として論文執筆をされています。
構想から5年を要した論文掲載までのプロセスは、西田氏によるエッセー 
「養鶏農家、論文を書く」 『 養鶏の友2025年12月号(日本畜産振興会発行)に掲載されています。