研究活動の要約
漆器は日本の代表的伝統工芸品の一つで、英語でjapanとも呼ばれます。日本では縄文時代から漆が塗料として使われ、漆塗り土器や小道具が作られてきました。京都では、福知山市夜久野地区が1300年の歴史を持つ丹波漆の生産地として知られています。しかし、安価な輸入漆に押され、漆生産の国産比率はわずか2%に低下し、日本の漆生産は壊滅的な状態です。漆はウルシノキの樹液から作る天然塗料です。しかし、その生産性は低く、1本のウルシノキからとれる漆液はわずかです。一方、丹波地方では、漆液生産性の高い優良樹「丹波1号」の植樹が進められています。本研究では、ウルシノキの遺伝子を分析し、「丹波1号」を他産地のウルシノキと峻別する技術を開発するとともに、さらに生産性の高いウルシノキの開発を目指しています。本年度は、次世代DNAシーケンサを使い約6000個のウルシノキの遺伝子を同定しました。また、ウルシノキをDNAを分析して識別するためのマーカーの開発も進めました。本研究では、最新の分子生物学の技術を使って伝統工芸を支える漆生産の再興を目指しています。
一方、夜久野地区は関西唯一の漆産地として、細々としてですが現在でも良質な漆液を生産し続け、漆芸家のニーズに応えています。伝統ある丹波漆を生産するウルシノキを守り、漆液を採取する伝統技術を継承していくNPO法人「丹波漆」の設置申請にも協力しました。
採択年 | 2011 |
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対象地域 | 福知山市 |
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ファイル | 丹波漆を再興するための総合戦略 (PDF, 302 KB) |