研究活動の要約
日本酒は古くから伝わるアルコールで「酒は百薬の長」といわれるように、適量を守って飲めば健康増進作用もあります。京都伏見は日本酒の伝統的な産地ですが、その一方で、ビールやワインなどの消費に押されて、日本酒の生産量や販売量は低下しています。そこで、①日本酒の付加価値を高める事、②日本酒の健康増進作用として炎症抑制作用を明らかにする事を目的として研究を行いました。
腸炎を起こしたマウスにエタノールなどの揮発性成分を除いた、日本酒濃縮物の成分を経口摂取させると腸炎を抑える事が明らかとなりました。昨年は、本学で開発された「分取用等電点電気泳動装置」で10画分に分けた日本酒濃縮物のうち、8番目の画分に腸炎を抑える作用を確認しました。そこで、今年度は分画前の日本酒濃縮物の腸炎抑制作用を確認しましたが、これにはその作用をみとめませんでした。このことから、「分取用等電点電気泳動装置」は、食品中の活性成分を精製するのに有用な方法であることが確認されました。続いて、日本酒濃縮物の8番目画分をさらに中速液体クロマトグラフィーで分画して、どの画分に腸炎を押さえる成分が含有されているかを確認いたしました。その結果、昨年よりもさらに腸炎抑制の有効成分を絞り込む事ができました。今後はその有効成分を同定し、その作用機序を解明する事により臨床応用を目指す予定です。
採択年 | 2011 |
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対象地域 | 京都市 |
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ファイル | 炎症性腸炎抑制効果を有する日本酒成分の同定・抽出 (PDF, 394 KB) |